作曲をしてみたいけど、なかなかアイディアが出てこない・・多くの人がこんなふうに思っています。今回はそんな人へのアドバイスと作曲手順を紹介します。
小曲を集めて組曲にするやり方です。今まで途中であきらめてしまった人でも大丈夫の内容です。
今回、例として作ったのは、組曲「星」
短くて簡単です。高度なテクニックは使っていません。
今回は少々、内容が盛りだくさんですがどうぞ最後までお付き合いください。
創造的で楽しい曲作り(前半)
だれに聞かせる訳ではないから大曲でなくてもいいけど、作り方が全くわからない。そのような人にとっておきの方法を紹介します。
内容は前半と後半に分けていますが、すぐにトライしたい人は【実践】にスキップしてください。
前半
- 何から始める?
- ピアノのレベルはどの程度必要?
- 続けること
後半〜実践(作曲のヒント・組曲)
一度は挑戦したけどそれきり、という人も多いです。
理由は?
- 思うように曲が作れない。
- シンプルになりすぎ。
- 中途半端で終わった。
最終的に出来ばえがイマイチ・・という理由がダントツです。
はじめは誰でも内容が薄い作品になりますが、気にしないでください。短い曲から始めて、徐々に大曲にしていく感じで進めていきましょう。

2小節の繰り返し。最初はこれで十分。
今回例として作った組曲は、基礎だけで作りました。
作曲のはじめ方
作曲に向かう気持ちは満タンですか?
やるぞ!という人はもう頭の中にメロディーが浮かんでいたり、このジャンルを作りたい、とすでに意欲的です。
前向きな気持ちはとても大切。
はじめの一歩は何する?
次に気持ちを切り替えるのがとても大切というお話です。
とにかくメロディーが思い浮かばない、次の日もまたその次の日も。そしてついに無気力。
悪循環を断ち切るために、今日はもうおしまい、また明日考えよう、と切り替えることも必要になってきます。
こんなメンタルで取り組もう
- 創造的
- あきらめない
- チャレンジ精神

冒険をしても、大ケガしませんので大胆にいきましょう。
ちなみに私は毎回ケガばかり(笑)音楽はメンタル面が大きく作用します。
ピアノレベルはブルクミュラー25が余裕で弾けるくらい
少し技術的なお話をします。最低でもブルグミュラー25番、チェルニー30番が弾けることを目安にしてください。
理由は?
- ブルグ25番はハーモニーが豊富で、いろいろな調性が学べる。
- チェルニー30番は、技術的な理由。速いパッセージ、音階、リズムが練習できる。
何をするにも基礎は最も大事です。
練習に行き詰まった時は?
次は作曲から離れて、既成曲の練習についてお話します。焦って課題をこなしたり、知識を詰め込みすぎると大体はつまづきます。
せっかく素敵な曲なのに、その心地よさに気づくことなく、ただ練習に励む。一生懸命練習をすることは間違いではありません。
テンポ、強弱、ミスをしないか。など、表面的なことに焦点が当たってしまっては、音楽の良さが味わえません。
スラスラと弾けて暗譜が十分出来たら、曲想を練っていく。ここが重要なわけですが、大体は間違えないで弾くことが目標になってしまいます。
しかし何度も練習してるのに上達しなけれな嫌になってしまいます。そんな時はどう乗り越えてますか?
追い込む?
あきらめる?
練習に行き詰まったら?

遊びのつもりで少し寄り道。 案外、道を外れると、自分の世界観が見つかるかもしれません。
その寄り道というのは、作曲や、コード遊び。
ちょっと寄り道のつもりが、どっぷり作曲に染まってしまった人もいます。作曲だけではなく、アレンジや即興演奏など。上手に寄り道をして遊べる人は「自分なりの表現」に関心がある人。
と言っても、作曲は既成曲が飽きてしまった人の逃げ道ではありません。新しい道です。
練習するだけでは上手くならない
音楽は想像の世界だし、表現の世界。無理に、クリエイティブに何かを表現しようということではありません。
全く想像ができない人や、そこまでして曲を作るより模範的に演奏する方が楽しい。それはそれで良いです。
でもちょっとした落とし穴が・・先ほどもお話ししましたが。
反復練習を繰り返していると、いつの間にか美しい響きのことを忘れて、ミスなく弾くことだけに集中してしまう。
私は長い音楽人生の中で、こういう人をたくさん見てきました。
「すごいな」と思っていた人が、冷静になって考えたらすごいのは技術だけだった・・ということもあります。
音楽ってその人の思い、経験、想像、育ち。それが音になって現れるんだなと。偉そうに言ってますが、それがわかるようになったのはここ10年くらい。
自分の発言や行動にこだわらない子供は、どんどん感性が鋭くなっていきます。大人になっていくにつれて、結果に執着し、達成しなければと思う。
とにかく。なんでも恐れずに、やってみる。
楽しさと喜びはそこからくるのかな。音楽ってこうじゃないと、と思うのです。
私はよくこんな相談を受けます。ピアノを続ける気持ちが下がっている。
それなら辞めてもいいと思っています。またやりたくなったらやればいい。
課題をこなす毎日だけでなく、仲間と音楽の話をしたりコンサートやライブに出かけてください。コロナが明けたら、きっと音楽はすごい勢いを見せるでしょう。
生演奏を観るのは特に大事。
演奏者の喜びに満ちた姿と、言葉にも似たフレーズ。その日はもちろん、一週間後も余韻を残す。その余韻は、心の栄養。音楽のパワーはすごいです。
充電したらまたピアノに戻ってきてください。話が前後してしまいました。すみません。
発見大好きな人が作曲に向いている
まずは鍵盤で鍵盤で遊んでみよう!と言ったら?
ピアノで遊ぶってこういうこと。すでに理解が出来ている人は音遊びのセンスがあります。自分がイメージしたフレーズを曲にすることができる素質がありますね。
反対に・・
10+10=20。いつでもきっちりとした答えを求める。
論立てて考え、音楽もその通りにいかなければ気持ち悪い。こんな人はそもそも、作曲なんてしようと思わないし、向いていないかもしれません。
これは、性格や素質の問題で良し悪しではなく。どうか気を悪くしないでください。
ちなみに私は音楽をロジックで考えるのはとても苦手です。理論が先の人とは住む世界が違うな、と思うことがよくあります。
とは言っても、スタンダードなことは勉強しているので、自分勝手に適当に弾くとはちょっと違いますが。
音楽を続けるための工夫
継続がとにかく大事といいます。皆さんは続けるためにどんな工夫をしていますか?もちろん私自身も工夫してます。それはジャンルへの関心を散らすこと。
同じテキストや練習をやっていても途中で飽きてしまい、興味を失うことに。
私の場合、クラシカルなもの、ジャズ、ネオソウル、オリジナル曲の制作、バンド、セッションなど。関心を広げています。
その中で、自分に必要なものは集中して練習し、休む時は休む。実はこの休むというのがとても大事。またいつかのブログでお話ししたいと思いますが、練習を休むことで、脳が整理整頓をします。よく言われていることですよね。
皆さんもきっと経験があると思います。5時間練習しても上手くならず放置。なんと三日後スラスラと弾けてる。
誰もがこんな経験をしていることでしょう。これは休息している間に、脳が整理してくれたから。上手に休むことも必要です。
と、こんな感じでざっくりと音楽全般を始め、作曲に必要な力と精神面についてお話ししました。ちょっと硬い内容だったかも知れません。退屈はここまで、いよいよ実践。
実践【作曲初挑戦】失敗しない作り方(後半)
5つの小曲を集めて組曲にしてみました。作曲というと、ポップスを思い浮かべると思います。ポップスでも良いのですが、コード進行を知っていないと厳しいので、このブログでは2〜4つのコードのみで作れる小曲を取り上げます。
しかし小曲と言いながらも、ベーシックなコード使いで雰囲気を出しています。
これが作曲のコツ。
組曲「星」
イメージは宇宙、未知、スペース、ギャラクシーなど。何も無いとイメージが湧かないので、タイトルを決めておくのも良いでしょう。
組曲【星】ストーリー作り
【組曲とは?】
いくつかの小曲を組み合わせて一つの曲にしたもの。
有名なものだと、くるみ割り人形、惑星など。他にもたくさんありますね。バッハの時代から組曲は作られていました。
今回の例
組曲「星」
- カシオペア
- 北斗七星
- アクアリウス
- オリオン座
- アンドロメダ
それぞれ、特徴とポイントを紹介しています。
いずれも基本。難解ではありません。

まずは、ぼんやりなイメージを思考整理してみましょう。この整理は大事です。
■イメージ
- テーマ〜宇宙系
- アイディア〜コードに特徴
- ルール〜小曲を作って組曲にする
- 構成〜各曲、Aのみ。
- 音色〜ストリングス+ピアノ
厳密でなくても、大体のストーリーを決めます。
それでは早速実演。
カシオペア
大まかなストーリーが描けたら、音色決め。伸びる音がイメージに合っているのでストリングスを選びました。音色はストリングス+ピアノ。

電子ピアノを持っている人はやってみてね
コードはCとB♭の繰り返し。
宇宙っぽい曲によく使うコードパターン。右手は3連ぷ。装飾的に、交差させて音域を広げました。これはアイディアの一つです。
(ビデオが切れる場合、wifiを切りLTE4Gでご覧ください)
【カシオペア】
■ポイントは二つのコードのみで作ること。
それとアイディアとして「交差」というシンプルな小技を使いました。何となく宇宙のイメージですね。
北斗七星
こちらも3連ぷを使ってスペースの雰囲気を出しました。
コード進行は Cー Dー E♭ーD。拍子は自由に決めてください。
長3和音の連続です。簡単な和音進行で宇宙の雰囲気。
【北斗七星】
■ポイントは、全て長三和音。それと、低音は全てC(ド)。
3連ぷを時々速くしたり遅くしたりしても、味が出ると思います。こちらも交差をして、瞬間的に音域を広げています。
アクアリウス
次は右手のメロディーは6度奏。コードはC。
今までコードばかりだったので、今回はメロディーを持ってきました。
本当は、1、4、5のコードが入りそうなのですが、あえてワンコードのみで。
【アクアリウス】
■ポイント
ワンコードでメロディーを作れないかな?このようにしてアイディアを練っていきます。
左手は、まともにコード&ルートを弾くと、バイエル教則本のようになってしまうので、ルートのみ。メロディーの仕上がりと同時にコード付をしますが、あえてコード進行にせず、ワンコードにする小技。

手の込んだことをしなくちゃ。こんなふうに考えている人がとても多いのですが、ワンコードでシンプルなメロディを弾くのもアイディアの一つですね。
オリオン座
どこか不安定を表したかったので、不協な音を入れてみました。古典的な音楽が好きな人は、このようなアイディアは浮かびにくいかもしれません。この機会に、プラスしてみてください。
左手はふ点リズム。コードはCとG。不協な音は「♯ファ」
【オリオン座】
コードはCとG(BmとしてもOK)の繰り返し。
■ポイントは、右手3度奏で動く。コードに対して不協な音を見つける。
この不協な音を見つけるのが楽しい。

コードトーン以外の音を見つける作業は、テンションコードを覚えるきっかけにもなります。
アンドロメダ
あやしさを増すマイナーフラットファイブを使うと、雰囲気倍増です。
コード進行はCmーCm♭5の繰り返し。
言い方は、減3和音やCm♭5、またはディミニッシュトライアドとも。
■ Cm♭5
■ 左手についてですが、Cmはミのフラットを弾いていません。Cm-5はソのフラットではなく、ラのフラットを弾いています。
これは、小技ではなく大技です。律儀にコード音を全部弾くより、この音を外したら意外性が出るかな?「コードからズラす、または外す」のがポイントです。これは少々慣れが必要です。
ここにあげた曲は、演奏も楽譜もおおざっぱです。これをヒントにして、想像力を生かし小曲を作ってみてくださいね。

こんなふうに、音数が少なくても十分に雰囲気をあらわすことが出来ます。ここが作曲のおもしろさ。技術ではなく想像力とアイディア。
まとめ
本日は作曲についてのお話をしてみました。おもしろいアイディアをいくつか紹介しましたが、何か発見はありましたか?
レッスンで、時々作曲を取り上げるのですが、印象としては、上達するという目的より、楽しみたい人が多いのかなと。
作曲が好きになった人は、相当のめり込みます。そして自然にむずかしいコードや奏法を覚えてしまう人が多いです。
自然な成長、うらやましいですね。これが理想の形かも。
しかし大抵は、いきなりそこにはたどり着けません。前提の知識がなければできることではありません。基礎技術は大事なので、日頃の練習は欠かせません。
経験で得たものは、何にも変えられないはず。頭で覚えるより、まずは聴いて感じて弾いてみることです。
楽しそう!やってみようかな? いや、自分にはまだまだ・・
いろんな感想があると思いますが、今回取り上げたコードや奏法は、ブルク25やチェルニー30番で出てくる基礎的なものです。
私たちは、受け身でいると大したことないコードさえも、わからなくなってしまうのです。あれだけ反復練習して体に馴染んでるはずなのに、いざメロディー譜にコードをつけるとなると何もわからない・・・この状態はとても問題があります。
それに今後、ジャズを弾いてみたい人は、コードを自然におさえられるように練習する必要があります。将来、ジャズにチャレンジしてみたい人は、少しづつでもコード練習をしていきましょう。
今日は、「作曲」という少しとっつきにくい分野のお話でした。
私自身はどちらかというと、ちょっとしたアイディアを出すのが得意です。思考が固まってしまうことはあまりありません。なのでこっちだよ、という道を作ってあげることができるので、また作曲法を取り上げてみようかと思ってます。
どうしたら良いのかわからない上、全てを自分で作ることはとても負担です。
今回のお話が、皆さんの想像力をアップするヒントになれたら嬉しく思います。最後までありがとうございました。
