感情の音楽、ブルース。
前回に引きづつき、ブルースピアノについてのお話です。
前回のブログ⬇️
ブルースピアノの基礎から高度なテクニック、フレーズの作り方までお話しします。
最後までお付き合いください。
今回取り上げた曲は、Everyday I have the blues(ランディクロフォード&ジョーサンプル)
キーはEフラットです。むずかしいかな?でも挑戦!二つの定番フレーズをコピーして弾いてみました。そして自分のフレーズに。
コピーはしたけど、自分のフレーズを作れない人はぜひ参考にしてください。
12小節とブルーススケール
まずは基本。12小節の構成とスケール。
12小節(Key=E♭)
セブンスが基本です。これが結構ハートに響きますね。
定番コードとベースライン
ベース
両手
馴染みのある渋いスケールだから、覚えやいですね。しかもどのコードにも当てはまってしまう。しかし気をつけたいのは、スケールを並べただけでは単一になりすぎて歌がなくなってしまうこと。
だから、音楽をたくさん聴いてフィーリングをつかみましょう。
偉そうにコードネームやらスケールやら書いて載せましたが、感覚的に覚えてもOK。私自身、断然感覚派です。
そして、とても大切なこと。
音を並べただけだとこうなる・・悲しいことに練習したての頃はこうなってしまうのです。
「しくじりブルース」
それと原因はリズム。このしくじりはとても大きい。要は裏拍の練習です。この人は完全に頭拍で勘定しています。このクセが一旦ついてしまったら、治りにくいです。もはや末期。
Everyday I Have The Blues/ランディクロフォードとジョーサンプル
今回取り上げた曲「Everyday I have the blues(ランディクロフォード&ジョーサンプル)」
私の憧れ、ジョーサンプル。もう亡くなっていますが、一日一回は彼のピアノを聴きたくなる。とても感情豊かなピアニストです。白人だからなのか、黒人より繊細な音を出します。
ゴスペルやR & Bもめちゃかっこいい。ランディクロフォードのパワフルな歌と、訴えかけるジョーサンプルのピアノが最高のコンビで大好き。
Everyday I Have The Bluesから学ぶ
定番フレーズを使ってアドリブ
ピアノフレーズを分析してみましょう。気に入ったフレーズや使いたいフレーズは少々大変でもコピーをして分析してみてください。
今回はよく使う定番フレーズをコピーしました。どのコードで弾いてもバッチリ。
無理に複雑なフレーズを作ろうとするよりも、自分が弾けるフレーズを弾いてみましょう。それから、スケールの音を使って遊んでみる。
そこで注意ですが、スケールを並べただけではしっくりこないフレーズが・・
音を並べただけの練習はよくやってしまうパターンです。やはり、お気に入りのフレーズを何度も聞いて、耳に馴染ませてみてください。
コピー→フレーズ再現→自分のアレンジ
このプロセス。
完璧さは必要なくて、まずは実験。
ブルースの魅力は自由と表現です。
早速実践。これでもかというくらい、コピーしたフレーズをたくさん入れてみました。テンポはゆっくりめ、渋い感じでマイナーなブルース。
ゆっくりテンポで弾くと、アラが目立つ。。でもそれが学び。逆に考えれば、テンポを速くして弾くと、速さに紛れて悪いところが消されてしまう、だから練習はゆっくりね。
遊び方
日本人の生真面目さが大いに出る即興演奏の悩みの一つ。
「遊び方がわからない」
一生懸命やる人ほど、このような状態に陥ってしまいます。
鍵盤から出る不思議な音、ビューティフルな音、ファニーな音、とにかくいろんな音を楽しんでください。普段からブルージーでファンキーな曲をたくさん聴いてとにかく雰囲気をつかむ。
そうは言っても、やっぱりわからない人はこんなふうに練習してみて。
例
フレーズを、前に出したり引っ込めたり、休符の位置を変えたら歌になるから試してみて。
微妙なリズムは楽譜に書けないんだけど、一応参考まで。
1-6-2(4)-5進行でジャズブルース
こちらもその辺にありがちなフレーズ。使えそうだなと思ったフレーズはどんどんコピーしてみてください。
Everyday I have the bluesから取ったフレーズです。
1-6-2(4)-5進行は、ポップスやジャズ、クラシックで幅広く使う進行です。覚えてね。
フレーズはなんとなく収まるんだけど、なんかカッコ悪い、という人はリズムが問題の可能性が。↑この場合、左手はアンティシペーションのリズム。ここに合わせて右手が弾けるとカッコよく弾けます。
自分のブルースフレーズを作るには
自分なりのフレーズが欲しい。でも思い浮かばない・・
音楽はまさに創造的。それは自分自身の感情や思考。試行錯誤を繰り返しです。
ジャズやブルースは、フィーリング。だからたくさん聴いて、実践を積み重ねるしかありません。私がいつもおすすめしている練習は、小さなフレーズをコピーして織り交ぜていくやり方です。
完コピしてジャズを勉強した、という話はよく聞くけれども、相当修行をしている人でなければ難しいです。なので初めは少しのフレーズを取って覚えて、それからアレンジさせていく。
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今回は二つのフレーズをコピーして、アレンジしながら練習する方法を紹介しました。
ポイントは次の通り。
そっくりそのまま何度何度も弾く。
そしてスケールの中の音を使ってみる。
少し冒険してみる。
そうやって自分なりのフレーズが出来上がっていくものです。
余談〜リズムの話
リズムについては、それぞれの考えがあると思います。考えというか経験。
私の経験では、裏でリズムをとって、レッドガーランドのようにアンティシペーションでバッキングをする練習が効果的だと思うし、やってきて良かったと思ってます。
時々、【頭拍を入れるように、と言われて頭と裏を混ぜて弾く】と言う人がいますが、私はおすすめしません。頭拍でバッキングした瞬間、そこから1、3拍目が強くなり裏に戻れなくなるからです。
それは、裏拍が完璧にできている人限定の話。
もちろん、バドパウウェルやレッドガーランドも1拍目からバッキングは入ることは多々あります。そういう人は頭拍だろうが裏拍だろうが、無条件でかっこいい。
と言うことでリズム練習は必須。
終わりに〜 練習と実践、自分のブルースフレーズを演奏する
以上、深い深いブルースのレッスンでした。
コードもスケールも小節数も決まってとっつきやすいはずなのに、なぜかうまく弾けない。
ブルースは自分の音楽に携わってきた歴史や、思考、好み、センスなど全てが見えてしまいます。ヤバイくらいに。
直感的にやっているのに、ノリやフィーリングをすぐにつかむ人。
何度やってもイマイチ乗れないしフレーズが出てこない人。
この差は?・・・・
ちょっとざっくりしていますが、物事に対して興味関心が強い人。
こういうタイプの人はとにかく音楽が第一優先。自分が描いている音楽をなんとか表そうとします。指が足りない・・や、この音で合ってるかな?なんて二の次です。
あとは、単純に音楽の経験が少なくて、即興の力が欠けている、耳の力がそこまでない、など。
色々なことが重なって、自分のフレーズがワンパターン化したり、思考が止まってしまったりするのではないかなと。
技術や理論は大切ですが、それ以上に自分の内側に耳を傾け、心から出てくる音楽を大切にしましょう。
それではまた〜
